目  次

ISBN978-4-7616-0381-6 C3000

志 保 田  務 著

日本における図書館目録法の標準化と目録理論の発展に関する研究

A5判 240ページ 定価3,000円+税
2005年5月31日 発行


「ま え が き」より抜粋

 本論文の意義は,序説において,標準目録規則の成立が近代図書館の確立,進展に大きな役割を果たし,それが書誌コントロールに関して顕著に機能したことを把握した点にある。次いで第一部において,標準目録規則成立の要件を明示して,国レベルの目録規則を検討し,標準性の要件を如何に充足したかを分析したことである。さらに第二部において,国内の近代目録に関する論争から主要なものを厳選し(1 主記入論争と「日本目録規則」の諸版,2 記述独立方式―非基本記入方式,3 書誌記録の単位・レベル論),これらが標準目録規則の進展・方向転換にもたらした影響,効果を指摘したことを挙げる。第二部における“効果”のうち「2」と「3」は世界の目録規則史上特筆すべきものであり,他の国,特にアルファベット以外の文字を用いる国においても適用されるに足るものであることを論証する。同時に,これらの効果は今後の目録規則においても重要性を失うことなく長期にわたって維持されることを主張し,これをもって意義のまとめとする。
 まず,日本近代図書館の目録規則について史的に把握し分析する。次いでこれらに関係する論説を検討する。わが国図書館界においては図書館目録(以下,「目録」と略)あるいは目録規則に関する議論が種々戦わされた。論議の核は,和漢書に対して西洋流の著者主記入方式を採用するか,日本流の書名主記入方式を採用するかにあった。初期には日本における書誌の記述法の伝統に従って書名主記入方式が採用された。その後,論争が多発し,20世紀半ばには,日本図書館協会は著者基本記入方式を採用した。しかし日本の国字(用字)事情に変わりはなく,標目は漢字中心に記載され,排列は漢字ではなく“かな”を基盤に行われるという二階建て馬車(ダブルデッカー)の形をとっていた。そうした形に疑問を呈する図書館員,図書館学研究者が現れ,非基本記入方式を主張した。幾多の論議を経て1977年12月に日本図書館協会はこの非基本記入方式を採用し,以降「日本目録規則」はこの方式を継続している。これはJapan/MARCにも採用された。本論文はこうした相対的な形で記録する目録方式が,今後の電子資源の目録記録法においても基本的な概念として活かされるべきことを主張する。また,この論議がアルファベット以外の文字を常用する国の目録,目録規則に影響を及ぼすことを主張する。